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口腔がんとは?


 わが国における口腔がんの罹患(りかん)率はがん全体のおよそ2% に過ぎませんが、私たちが生きていくうえで必要不可欠な「食べる」「飲む」「話す」「呼吸する」といった口腔機能が大きく損なわれQOL(生活の質)が著しく低下し、また生命を脅かす重大な病気です。
 口腔ガンの後天的な原因は、喫煙や過度の飲酒、口腔内の不衛生、不適合な義歯による慢性的な口腔粘膜への刺激、栄養不良やウイルスなどが知られています。総じて、口腔がんに罹患するリスクが最も高いタイプは50歳以上の男性で飲酒時にタバコを吸う習慣のある人と言われています。飲酒時の喫煙によりタバコに含まれる発がん性物質がアルコールで溶かされて口腔粘膜に作用するため、よりリスクが高いとされています。
 一般的に口の中の病気はかなり悪化するまで我慢してしまうことが多く、がんのような早期発見により生存率が上昇する場合でも進行してから来院することが多いようです。がんに限らず口の中では「出血がある」「膿が出る」「痛みがある」などさまざまな症状が出ますが、これがもし顔や体の皮膚に起こったとしたらすぐに病院に向かうでしょう。
①歯肉や頬粘膜に無症状でイボのような白っぽい隆起がある②義歯調整後の粘膜の傷や原因不明の傷が2週間以上経過しても治らない③粘膜の表面に境界が不明瞭な硬いしこりがある④抜歯後の治癒が遅く抜歯窩から出血しやすい肉芽組織が盛り上がっている⑤一定の部位の粘膜表面が赤くただれている⑥顎顔面領域の原因不明の痛みが次第にしびれに変わってきた―などの所見があれば早急に検査を受ける必要があります。
また、口腔がんの予防には禁煙あるいは節煙を行う、禁酒あるいは適量飲酒を行う、口ほてつ腔内を清潔に保つ、適切なう蝕治療、補綴治療、歯周治療を行い口腔環境を整える、香辛料をとり過ぎない、バランスの良い食事をとる、などが挙げられます。
 口腔がんは早期に発見できれば患部を切除するのみで治癒する可能性が高いですが、発見が遅れて腫瘍が大きくなっていると大幅な切除手術が必要で術後の機能障害も重症となります。口腔がんの切除手術を行う際には、損なわれた部分を他の皮膚や筋肉を使って移植するなどの再建手術が行われます。しかし、外見上は復元されたとしても、移植した組織が舌などの口腔内組織の機能を果たすことはできません。切除範囲が大きいほど術後の飲食や発音が困難になるため、QOLの著しい低下が懸念されます。
 口腔がんは日ごろの定期健診で早期発見できることがほとんどです。痛くなくても定期健診にいきましょう。

歯ぎしりブラキシズム

△症状として
 歯ぎしりは、口腔の基本的な機能である咀嚼(そしゃく)、発音などには障害はないものの、閉口状態で上下顎の歯を持続的にくいしばったり、すり合わせたり、間欠的に(一定の時間をおいてまた起こる)かみ合わせたりする習癖です。歯ぎしりは夜間睡眠中に生じるために、本人はまったく自覚していないことがほとんどです。
 口腔内所見としては上下顎の咬合状態には大きな問題はないものの、上下顎の特定の歯の咬合状態に一致して、とくに犬歯を含む小臼歯、大臼歯の咬耗がよくみられます。そのためにエナメル質がすり減り、咬合面(歯のかむ面)の凸凹がなくなり、象牙質が露出し、アイスクリームなどの冷たいものがしみることもあります。
△診断として
 歯の咬耗、咬頭嵌合位(こうとうかんごうい)(歯がかみ合う位置)における垂直的位置不正(おもに上顎と下顎の垂直的間隔が歯の咬耗によって小さくなることを指す)、家族などへの聞き取りなどによって診断がつきます。
△ 原因には
 局所的な因子、全身的な因子、精神的な因子があり、原因の特定はむずかしい場合が大多数です。局所的な因子としては咬合の不調和があげられますが、実際にはかみ合わせの高い金属冠や充填物が原因となって生じてきます。
 全身的な因子によって起こるとされる症例は、甲状腺機能亢進や栄養障害などの合併が考えられますが、いまだ特定することができません。
 また、精神的な因子については、欲求不満、悔しさ、怒り、悲しみなどの純粋な精神的な緊張の場合に生じると言われていますが、各種の運動の選手のように心身両面にわたるストレスが生じる場合には、非常に起こりやすいことがスポーツ医学者によって、指摘されています。すなわち、習慣病的な部分があります。
△治療として
 前述のように3種の発症の因子が考えられるところから、治療も根本的には発症因子に対応してなすべきですが、実際にはそれが複雑に絡んでいることが多く、少しずつ発症因子を取り除くことが大事です。歯ぎしりは、寝食をともにする人に迷惑がかかる場合がありますので、スプリントの装着などは有効な治療法の一つです。

食いしばり


 最近は、ストレスを抱えて生活することが多い時代です。それは仕事であったり、育児であったり、友人関係などさまざまな理由で人はストレスを感じ、それはささいなものから深刻なものまでいろいろです。
   患者さんから①無意識に歯を食いしばっていることがある②あごがだるい③頬や舌に痕
がつくなどの相談を受けることがあります。ふと気がつくと食いしばっていて家族から歯ぎしりを指摘されたなどです。食いしばりや歯ぎしりの主な原因はストレスや緊張にあるといわれており、人間は日常生活の中で抱えるさまざまなストレスを、歯ぎしりや食いしばりによって無意識に解消しているのです。最近ではデスクワークの増加によりその頻度は増加傾向にあるといわれています。 また、口臭を気にされている人にも口元に緊張が見られ食いしばるという事例もあります。
 これだけのストレス社会でストレスを完全になくすことはほぼ不可能かと思いますが、食いしばりや歯ぎしりは放置するしかないでしょうか?それは危険です。過剰なストレス状態における過度の食いしばりを日常的に行っている方の中にはその負担から咬筋(こうきん)や側頭筋などの筋肉が緊張し頭痛や肩こり、耳鳴りを起こす方もいます。また過度にかかる咬合力によ
り歯のすり減りや破折を起こしたり、それが原因で知覚過敏を起こすこともあります。
 さらに歯を支える歯周組織、骨や歯肉の炎症から始まり急激に歯周病が進行するケースもあります。またその結果、顎関節症を引き起こすこともあります。
 ではどうすればいいか。よくいわれるのが、まずは気づいたらすぐ食いしばりをやめる。これを意識するようにすると早期に食いしばりに気づくようになり、結果歯にかかる負担は軽減します。そのため、職場などでは食いしばりに気がつけるように、至る所に「歯を離す」というメモを貼るのも有効でしょう。またリラックスするのも大切ですので定期的な深呼吸などもいいかそしゃくと思います。人は一日の間で咀嚼を含め歯をかみ合わせている時間はだいたい10分位だそうです。無意識に食いしばっている方はその時間がより長くなっているので、気づいたときに食いしばりをやめるだけでもかなりの効果があるといわれています。またご飯をゆっくり食べることも必要と言われています。食いしばりのある人の特徴に、早食いをする方が多いそうです。食事をする際、ものをゆっくり優しくかむことを意識するだけでも効果があるそうです。ガムをかむことで食いしばりを抑制することもいわれています。ガムをかむことで上下の歯を離すことができます。またかんでいるガムは口の中で球体にし、口蓋に押し付けることをしても食いしばりは回避できます。また歯ぎしりをしている人は枕が高い人もいるそうですので、一度正しい枕の高さを見てもらうこともいいかと思います。
 日常の中でちょっとした改善やセルフケアで、結果健康な口腔環境を維持できるとすれば、とてもいいことだと思います。それでもやはり症状が気になるのであれば、それは早めにかかりつけの歯科医院を受診することが望ましいと思います。

歯軋り(はぎしり)

 朝起きるとなんとなく顎のあたりが痛い、または違和感が少しあると思ったことはありませんか?それは、もしかしたら就寝中に歯軋りをしている可能性があります。歯軋りは発症していても自分では気がつきにくい病気です。歯軋りを起こしてしまう原因は歯並びなど歯が原因によるものと思いがちですが、実は歯による原因だけではなく日々の生活習慣も深く関わってきます。原因は科学的にはまだ実証されていませんが、いろいろな原因の中から4つほど紹介していきます。

①ストレスが原因
 歯軋りの一番の原因としてあげられるのがストレスです。現代社会はストレス社会と言われており、多くの人がストレスを感じながら生活をしています。そして、歯軋りを起こしてしまう人はそのストレスをうまく発散できずため込んでしまうため、その結果就寝中にたまったストレスにより歯を食いしばり、歯軋りをしてしまうことがあると言われています。

②歯のかみ合わせの悪さによる
 歯軋りは歯並びの悪さから起こることもあります。また、むし歯治療中で治療が終わっていない場合や、治療の際に歯に詰めた物が合っていない、歯を抜いた後そのままにしているなど、顎の筋肉の緊張がアンバランスになっていることが原因で歯軋りが起こると言われています。

③喫煙、飲酒が原因
 喫煙や飲酒も歯軋りを引き起こしやすい原因としてあげられます。アルコールや煙草のニコチンが関連していると言われています。

④逆流性食道炎による
 一見、関係性のないように思える逆流性食道炎も歯軋りの原因ではないかと最近言われています。歯軋りは放っておくと❶歯や顎にダメージが積み重なり顎関節症や❷歯が磨り減って知覚過敏になったり❸歯が割れて抜歯することになったり❹歯周病の悪化の原因や❺睡眠が満足にできず不眠になり、体調をくずしたりもします。

 歯軋りは体を壊す原因の一つだと思います。一度歯医者さんで歯軋りについての受診をおすすめします。

正しい口腔ケアを行っていますか?

 近年、歯周病が早産や低体重児出産に関わっていることが報告され、その後、心筋梗塞、糖尿病、誤嚥性肺炎などの全身疾患にも関係していることがわかってきている。さらに咀嚼機能と認知症との関連性、手術前後の口腔ケアによる術後合併症の関連性など、口腔環境が全身の健康と密接に関連していることも明らかになってきた。また「健康日本21」において「歯周病は口の中のデンタルプラーク(歯垢)が最も大きな原因で発症するため、歯科を受診することや正しい歯みがきを続けることで予防できる生活習慣病としての性格を有している」記載されている。そのため、歯と口腔のケアは、むし歯や歯周病予防のためだけでなく、全身の健康を守るためにとても大切である。
 現在、口腔ケアは、歯や口腔粘膜など口腔内の汚れを取り除く器質的口腔ケア(歯みがきや専門的な歯面清掃など)と口腔機能(咀嚼や発音など)の維持・回復を目的とした機能的口腔ケアから成り立つと認識されている。また、口腔ケアは自分自身で行うセルフケアと歯科医師および歯科衛生士によるプロフェッショナルケアに大別される。
 自分自身で行えることとして(セルフケア)毎日の歯みがきはもちろん、栄養のバランスのとれた食事をとり、よくかみ、口腔をより動かすことで口腔機能を良好に保つことがあげられ、プロフェッショナルケアとしては、患者さんにあった口腔清掃のアドバイスや専門的な歯面清掃、口腔機能の回復などがあげられる。
 したがって、口腔ケアはセルフケアとプロフェッショナルケアの両面から行う必要がある。個人個人の口の中にあった、さらには全身の健康状態に対応した正しい口腔ケアをプロフェッショナルケアから学び、規則正しい生活習慣を実践することにより、歯や口腔の健康ひいては全身の健康に結びつけてみてはどうだろう。「からだの健康は歯と歯ぐきから」である。