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歯並びはいつごろ治すのがいい?
歯並びはいつごろ治すのがいい?
幼稚園、小学校などで講演すると、必ず「歯並びはいつごろ治すのがいいでしょうか」という答えに一番困る質問が出ます。なぜならば一人一人の歯と顎の骨の状態によって答えが違ってくるからです。それでは答えは「専門医によく相談してください」となって、講演会も終わってしまうので、一般的に治した方がよい歯並びの内容を次のように説明します。
大きく歯並びを分類すると次の3つに分類されます。
①反対咬合=一般的に「受け口」といわれています。下の歯が前方に出すぎている状態です。
②上顎前突=一般的に「出っ歯」といわれています。上の歯が前方に出すぎている状態です。
③叢生=一般的に「乱杭歯」といわれています。歯の一本一本がそろわずに前後にずれたりねじれたりしています。
それではお子さんの口の中をじっくりと見てください。
①の反対咬合の場合、あなたの家族は黄色人種ですか。ほとんどの日本人が含まれると思いますが黄色人種の場合、全部が永久歯に生え変わるまで待つと矯正だけでは治りにくく下顎骨の手術が必要となる子どもの割合が多くなります。中顔面の骨の発育が少ない特徴のためです。そのため早く(5~7歳ごろ)治療するのがよいことが多いのです。3歳から治療できる装置もあります。でも反対咬合と一口に言っても特徴がいろいろあります。お子さんがいつ治療に入るべきかは専門医に相談するのがよいでしょう。
②の上顎前突の場合、上下の顎の骨の大きさと位置によって異なってきます。永久歯に全部生え変わってからでも治療できる人の割合が黄色人種の場合は多いのです。白色人種の場合は治りにくい人の割合が増えますので、早い時期に一度相談するのがよいと思います。
③の叢生の場合、6歳臼歯の噛み合わせが肝要となります。この歯が上下左右とも正しく噛んでいる場合は永久歯に生え変わるまで待ってもよい割合が多くなります。
実際の歯並びは①と③、②と③の両方の問題が重なっていることも多く、より複雑な診断が必要となる場合が多いです。いよいよ診断が決まり治療に入ったとしましょう。治療の期間は非常に長くなります。
早くても2~3年はかかります。長い場合は途中に経過観察する期間も含めて10年以上になる場合もあります。顎の発育を促したり歯を動かしたりする期間が終了しても、後戻りを防ぐために保定する期間も長いものになります。自分で判断して勝手に中止するとそれまでの努力が無駄になりますので、治療を始めたら最後まで続けることが大切です。