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歯周病と糖尿病

歯周病と糖尿病

 成人の約80% 以上の人が歯周病にかかっていることが、歯科疾患実態調査で分かっている。また「健康日本21」には、「歯周病は口の中のデンタルプラーク(歯垢)が最も大きな原因で発症するため、歯科を受診することや正しい歯磨きを続けることで予防できる生活習慣病としての性格を有している」と記載されている。

 歯ぐきの健康を長い間維持し歯周病の発症や再発を防ぐためには、患者自身によって炎症の原因であるデンタルプラークを歯ぐきから毎日取り除く必要がある。すなわち歯周病治療と歯周病の発症(再発も含め)の防止は、正しい歯磨きが非常に大事だといえる。日本での歯磨き習慣は定着しむし歯も減ってきているが、個人個人の口の中の状況に応じた歯磨きが十分になされているとはいえない。歯科医院で定期的に歯石の除去などの予防処置や歯磨きなどの指導を受けることが、歯を失わないために効果があることも分かっている。すなわち歯周病の予防には、歯磨きなどの患者自身による自己管理が非常に重要だが、自己管理のみで完全に歯石の付着を防ぐことは困難なため歯科医や歯科衛生士による指導管理と自己管理の両方をバランスよく行っていくことが重要だ。
糖尿病は歯周病を悪化させる因子の一つとして従来より考えてられてきた。一方、近年歯周病は糖尿病の「第6の合併症」として注目され、日本糖尿病学会は「糖尿病治療ガイド2008―2009」で、歯周病を「重大な合併症の一つ」としている。歯周病と糖尿病は密接な相互関係にあり、慢性炎症としての歯周病をコントロールすることで、糖尿病のコントロール状態が改善する可能性が示唆されている。
 糖尿病患者とそれ以外の人での歯磨きの状態や歯ぐきの状態を比較した多くの研究から、糖尿病患者は歯周病がより進行していることが分かってきた。また血糖値のコントロール不良な患者はコントロール良好の患者や糖尿病でない人と比べると、歯を支えている骨の吸収がより進行しているとの報告があり、血糖値コントロールが不良な患者ほど歯周病が進行しやすいことが示唆されている。歯周病も糖尿病も生活習慣病であり、歯周病は糖尿病の合併症である。また糖尿病は歯周病の重要なリスク因子だ。それぞれの病気の治療または予防をすることは当然大切なことだが、病気の治療をきっかけに食事、睡眠、喫煙など、生活習慣を改善することも健康な生活をする上で大切なことではないだろうか。

噛み合わせは大切

噛み合わせは大切

 最近、ラーメンやうどん、そば屋などで、すすることができない子どもたちを目にすることが多い。
 食事マナーの問題からか、昔のようにソバなどのすする音を立てて食べることが、若い人の間では少なくなってきた気がする。事実、子どもたちに音を立てずに食べるよう注意する保護者の姿もよく見かける。

 私も自分の子どもたちに尋ねてみた。すると「すすることが難しい」、次に「おなかに空気がたまり気持ち悪い」という返事だった。
うまくすすることができない原因として、次のことが挙げられる。
①口腔機能の低下により▽上手に噛む(咀嚼)▽飲み込む(嚥下)▽発音―ができない。
②児童では、顎の発育が悪く正常な顎口腔機能の発達が得られない。
③歯並びが影響する。
このようなことから、永久歯列が完成する時期まで咀嚼、嚥下、発音といった正しい「咀嚼運動」を学習することが大切だ。
噛むことは唾液の分泌や脳への血液を促し、歯並び(歯列)の正常な発達や顎の成長を促進する働きがある。
生涯にわたり自分の歯で噛むためにも正しい「噛み方」を身につけよう。

義歯性口内炎予防のための義歯清掃法と洗浄剤の選び方

高齢者の中には入れ歯を使用している人が多く、入れ歯が影響する口内炎も最近の診療で多く見受けられるようになった。この原因は大きく分けて①微生物因子による口内炎②機械的刺激による口内炎③アレルギーによる口内炎―に分けられる。
その中でもホームケアが重要な微生物因子による口内炎について説明する。微生物が口内炎を引き起こすメカニズムは、入れ歯表面に付着した微生物が粘膜の破壊を起こし、微生物に対する遅延過敏反応などによって病的反応を引き起こしていると考えられる。
治療法としては入れ歯に付着した汚れの除去が重要。機械的清掃にはブラシと超音波による清掃があるが、磨耗に対する配慮が必要だ。一般に歯ブラシは、毛が太い物は磨耗を引き起こしやすい。また毛が長く先が丸く径の小さいものは磨耗しにくい。歯磨き剤、家庭用洗剤、研磨用せっけんは入れ歯を傷つけるだけでなく、入れ歯の適合性を変化させることから使用すべきではない。また入れ歯をいろいろな方向にブラッシングする方がより効果的で、毎食後と就寝前に行うとよい。ただしブラシだけでの清掃ではプラーク除去は不完全だ。また超音波洗浄器としていくつか市販されているが、これのみでは十分ではないので化学的洗浄法を併用するようにする。
これは入れ歯洗浄剤を使用する方法で①アルカリ性過酸化物②次亜塩素酸塩③酸④酵素―の4種類の洗浄剤が主に市販されている。
アルカリ性過酸化物は最も一般的な浸漬型の洗浄剤で、使用が簡便で香りがよく入れ歯に有害な影響を与えない。義歯を1日6~8時間洗浄剤に浸しておくことは軽い汚れには効果的だ。主に新しい義歯を装着した人や毎日清掃する人に対して有効で、入れ歯の著しい汚れや付着した歯石の除去には効果がない。
次亜塩素酸塩は次亜塩素酸溶液が入れ歯に付着したプラークの除去に有効であることから、週に1回6~8時間義歯を浸漬する方法を用いる。大量の汚れや歯石の付着しやすい人に対して勧められる。
酸は着色性の汚れや歯石の除去に非常に効果があるが、金属を腐食させるという欠点がある。
酵素を用いた義歯洗浄剤は強固な付着物を除去するには効果があったと報告がある。酵素洗浄剤は、通常の使用では殺菌作用やカビを防ぐ作用があり、毒性がなく義歯材料に為害性(害を及ぼすこと)が小さい。それぞれの利点、欠点を理解して使い分ける必要がある。

やっぱり歯ブラシは大切!

やっぱり歯ブラシは大切!

日進月歩という言葉があります。日に日に進化する技術のことで、歯科治療分野でも例外ではありません。
う窩(むし歯の穴)に詰める材料も、口腔内の過酷な環境に長く耐え得るものに進化しています。かぶせ物はより天然色に近く耐摩耗性の優れたものに変化しています。不幸にして歯を失った場合に入れる義歯でも、一般的な樹脂製の物から、装着感を和らげる薄い金属のプレート状の物に変化しています。また磁石を利用し、しっかり顎に固定される物や、特殊な軟性樹脂で金属のバネが見えない物などがあります。取り外しの義歯が嫌な人には人工歯根を歯茎に植え込むインプラント治療などもあります。今後も治療のバリエーションや、その材質などの進化が見られることでしょう。こうなると、むし歯や歯周病で歯が悪くなっても安心だと思うかもしれませんが、これらの治療は全て修復であり、元に戻る再生治癒ではありません。
歯の再石灰化という言葉を聞いたことがあるでしょうか。肉眼でははっきり分からない程度の初期むし歯では再生が起こります。残念ながら、大きく開いたむし歯では再石灰化は起こりません。やはり自分の天然の歯に勝るものはないでしょう。また歯周病もごく初期であればほぼ元どおりの状態まで回復します。しかしかなり歯肉が下がってしまった重度の歯周炎では、歯と歯の間に隙間のない元
の状態に戻すのはかなり困難といえます。
そこでやはり大切なのは歯みがきです。むし歯や歯周病にならないためだけではなく、むし歯治療後の歯に維持や歯周病をさらに悪化させないためにも大事です。
むし歯や歯周病の原因はご存知のようにむし歯菌と歯周病菌です。これら病原細菌はほとんどの人の口の中に存在します。しかしむし歯の多い人と少ない人、歯周病の重度の人とそうでない人がいます。その理由の一つに病原細菌の数が挙げられます。ある種の歯周病菌は4~6時間ごとに繁殖することが知られ、食べ物カスを栄養源として多量に繁殖し、むし歯や歯周病を発症させるのです。プラーク(歯垢)はみがき残した食べカスではなく、増殖した病原菌の塊だとイメージしてください。完全に除去することは困難ですが、この病原菌の数を少ない状態に保つことはできます。そのための最も有効な方法が歯みがきです。むし歯や歯周病でお困りの人や予防を望んでいる人は、歯みがきをエチケット的な考え方から病原細菌を取り除くために、自身でできる最も重要な治療の一つと考
えてはどうでしょう。歯みがきに対する考え方も変わるのではないでしょうか。また歯間ブラシなどの補助器具や洗口液の併用で、自分に合った効率的な方法を、かかりつけ歯科医に相談して確認してください。

先天性欠如

先天性欠如

生まれつき歯が足らないことを歯の「先天性欠如」と言う。
日本小児歯科学会の最近の調査では、上下おやしらず合わせて永久歯が28本(親不知を除く)そろわない「先天性欠如」が、小児歯科を受診する子どもの1割に上ることが分かった。
この調査には7大学の小児歯科と協力歯科医が参加協力し、1980年代以降に12都道府県で7歳以上の受診患者1万5,544人のX線画像を分析した結果、1,568人(10.09% )に1本以上の永久歯
の欠如が認められた。
先天性欠如歯の割合は、左右5番目に生える奥歯(第2小臼歯)と2番目の前歯(側切歯)が多く、上あご(4.37% )より下あご(7.58% )の方が多かった。先天性欠如は病気ではなく歯の形成異常の1つで、乳歯にも見られる。
原因はよく分かっていないが、永久歯の先天性欠如が1~2本の場合は、進化の過程での退化現象とみられている。このほか遺伝的要因や内分泌疾患などの関与も考えられるが、明確な原因が分からないため予防することはできない。
治療法は次の通り。
①乳歯をそのまま使う。大事に使えば30歳ぐらいまで使えるといわれている。
②矯正治療をする。歯と歯の隙間を詰めて歯を並べる。
③入れ歯を入れる。
④ブリッジを入れる。ただしブリッジを入
れるには、土台にする健康な歯を削らなけれ
ばならない。
⑤インプラントを入れる。発育期には不可なため、大人になってから治療に取りかかる。
また治療ではないが、顎の大きさに比べて歯が大きく見た目に異常が感じられない場合や、4本生えるはずのところに3本分のスペースしかなく、かえってそれなりの歯並びとなることがある。両方ともまれなケースなのでそれを期待して放置することは避けるべきだ。
お子さんの歯が先天性欠如だと聞かされた場合、親は大変なショックを受けて大きな心配事となってしまう。また歯科医もいずれの治療法を選択すべきか、非常に難しいものとなっている。
お子さんの歯に異常を感じた場合は、早めにかかりつけ歯科医に相談してほしい。