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親知らずは抜かないといけないの

親知らずは抜かないといけないの
親知らずは歯列の一番奥に生える歯で、正式には第三大臼歯という。親知らず以外の歯は小・中学生のころまでに生えるが、親知らずは思春期以降に生えるため、親が気づかないという意味から親知らずといわれるようだ。以前は親知らずがちゃんと生えて機能していた人が多かったようだが、近年、食生活などの変化に伴い、人間の顎は小さくなり歯の本数は減少する傾向にあり、生まれつき親知らずが生えてこない人もいる。
「親知らずが生えてきたけど抜いた方がいいだろうか」と聞かれることがあるが、親知らずは必ず抜かなければいけないという訳ではない。歯列の中でまっすぐ生えていて、上下の親知らずが咬み合い機能していれば必ずしも抜く必要はない。抜く必要がある場合は▽生える位置や方向に異常がある▽生えるスペースが足りなくて一部しか生えていない▽横向きに歯肉や骨の中に埋まったままに
なっている―などの場合だ。
生える位置や方向に異常がある場合や一部しか生えていない場合は、前の第二大臼歯(12歳臼歯)との間に歯垢がたまりやすく、また歯みがきもしにくいため、親知らずも第二大臼歯もむし歯や局所的な歯周病が進行しやすくなる。このような場合は第二大臼歯を救済するために、抜歯した方がいいことがある。
一部しか生えず、一部あるいは大部分が歯肉におおわれている場合は、被覆歯肉が炎症を起こしやすく、痛くなったり腫れたりしやすくなる。自覚症状がなくても慢性的に炎症が進み、周囲の骨がとけ、気づいたときには第二大臼歯まで動揺してきたということもある。被覆歯肉を切除するだけで改善する場合もあるが、多くは抜歯の適応となる。
完全に骨の中に埋まっている場合は、本人も気づいていないことが多く、抜歯の必要となることは少ないが、まれに骨の中の神経をのうほう圧迫する症状や、骨の中に嚢胞を形成していることもあり、抜歯や手術が必要となることもある。また不幸にも第二大臼歯が喪失した後に、壮年期や高齢期になって、埋まっていた親知らずが生えてくることもある。
親知らずは必ず抜く必要はないが、気になる人はかかりつけ歯科医に相談してほしい。