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2011年6月の記事一覧

フッ化物応用で丈夫な歯に!

フッ化物応用で丈夫な歯に!

生涯にわたって自分の健康な歯で生活を営むためには、小児期から高齢期までの適切なむし歯予防が必要だ。
歯の表面のエナメル質表層では、カルシウムが溶け出す「脱灰」と、再びカルシウムが戻る「再石灰化」が繰り返されている。エナメル質表面に歯垢が付着し、酸が産生され脱灰が優位になるとむし歯になる。エナメル質は大部分が無機質のリン酸カルシウムで、ハイドロキシアパタイトという結晶柱構造でできている。これは構造的に破壊されやすく酸にも弱く、ミュータンス菌などのむし歯菌が作り出す有機酸で、容易にカルシウムが溶け出す。
 むし歯予防には、①歯質=むし歯抵抗性の高い歯質を作る②歯垢の除去=歯の表面の環境を清潔で快適な状態に保つ③食事・間食(砂糖)への注意=規律ある食生活リズムの確立―の3つの要素があり、これらに対応することでむし歯リスクを抑えることができる。
そして安全でもっとも有効で高いむし歯予防効果が得られる方法として、「フッ化物」の応用が強く推奨されている。フッ化物は歯質と口腔環境(歯垢細菌)に作用して、①歯質の強化②再石灰化の促進③細菌活動の抑制―の役割を行い、むし歯予防効果を発揮する。
日本では、フッ化物を応用したむし歯予防法として▽フッ化物洗口▽フッ化物歯面塗布▽フッ化物配合歯みがき剤による局所的応用―などが実施されている。最も普及しているのが歯ブラシとフッ化物配合歯みがき剤による歯みがきだ。フッ化物配合歯みがき剤は歯みがき剤の市場占有率の約9割に達し、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズという種類のフッ化物を配合しており、むし歯の減少に大いに貢献している。しかしフッ化物配合歯みがき剤での歯みがきだけでは、歯みがき方法や時期、回数などで個人差が生じる。さらにむし歯多発
傾向者への有効な方法としては、「フッ化物洗口」と専門家が行う「フッ化物歯面塗布」を、永久歯が萌出する時期から積極的に併用することで、むし歯予防にさらなる高い効果が期待できる。
むし歯予防はもとより、むし歯によって歯を喪失しないためにもフッ化物応用の拡大が望まれる。