2013年1月の記事一覧
むし歯と糖
むし歯と糖
むし歯は歯の硬組織(エナメル質・象牙質)が局所的に破壊されていく疾患である。このような歯の硬組織の破壊が起こるのは、まず細菌が歯面に付着し、次いでこれらの細菌が食物中の炭水化物を分解・発酵させ、生じたさまざまの有機酸(主として乳酸)が硬組織を分解するためと考えられている。
一般的に歯、食物(スクロース)、細菌(ミュータンスレンサ球菌)の3つの条件が重なり合ったところにむし歯(齲蝕)が発生すると言われている。
「砂糖」という名のもとに私たちは毎日さまざまな形でスクロースを摂取している。日常生活で甘味を摂取せずに生きていくのは無理なので少しでもスクロースを減らす方法として次の代用糖がある。
【ソルビトール】イチゴ類やサクランボ、リンゴ、梅などに含まれている糖アルコールの一種で甘味度はスクロースの約60% 。カロリー価はスクロースと同程度だ。ソルビトールをはじめ糖アルコールは大量に摂取すると下痢を起こすことがある。ソルビトールは吸湿性が強く、湿潤剤として歯磨きに10% 前後含まれている。そして、口腔内細菌によって発酵されにくく、ミュータンス菌のようなソルビトール分解能をもつ菌でも、ソルビトールを分解して酸を産生するには長時間を必要とする。ソルビトールは、糖尿病患者用の甘味料として使用されているばかりでなく、チューインガムやキャンデー類にも使用され、「むし歯の心配はいりません」といった類いの効能書きが付いているものも販売されている。
【キシリトール】多くの野菜や果物に含まれており、スクロースと同程度の甘味を持ち、爽やかな感じを与える。ソルビトールと同様に大量に摂取すると下痢を起こす。キシリトールはスクロースに比べるとプラークを形成する能力が極めて低いという臨床実験がある。キシリトールは、次の2つに比べてむし歯の発生率が激減することが明らかになった。
【サッカリン】スクロースの500倍の強い甘味を持つ。甘味の味の切れが悪く、特有の後味の悪さが残る。ダイエット用の非カロリー性甘味料として清涼飲料水やアイスクリームなどに好んで用いられている。
そのほかむし歯を抑制する食べ物として天然食品がある。粗糖の方が精製糖に比べてむし歯を発生させる作用が弱いということが研究者の実験で確かめられている。まだ他にもむし歯になりにくい糖はある。食品を買うとき裏面に必ず糖の種類が明記してあるので参考にしてほしい。