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2016年1月の記事一覧

食いしばり


 最近は、ストレスを抱えて生活することが多い時代です。それは仕事であったり、育児であったり、友人関係などさまざまな理由で人はストレスを感じ、それはささいなものから深刻なものまでいろいろです。
   患者さんから①無意識に歯を食いしばっていることがある②あごがだるい③頬や舌に痕
がつくなどの相談を受けることがあります。ふと気がつくと食いしばっていて家族から歯ぎしりを指摘されたなどです。食いしばりや歯ぎしりの主な原因はストレスや緊張にあるといわれており、人間は日常生活の中で抱えるさまざまなストレスを、歯ぎしりや食いしばりによって無意識に解消しているのです。最近ではデスクワークの増加によりその頻度は増加傾向にあるといわれています。 また、口臭を気にされている人にも口元に緊張が見られ食いしばるという事例もあります。
 これだけのストレス社会でストレスを完全になくすことはほぼ不可能かと思いますが、食いしばりや歯ぎしりは放置するしかないでしょうか?それは危険です。過剰なストレス状態における過度の食いしばりを日常的に行っている方の中にはその負担から咬筋(こうきん)や側頭筋などの筋肉が緊張し頭痛や肩こり、耳鳴りを起こす方もいます。また過度にかかる咬合力によ
り歯のすり減りや破折を起こしたり、それが原因で知覚過敏を起こすこともあります。
 さらに歯を支える歯周組織、骨や歯肉の炎症から始まり急激に歯周病が進行するケースもあります。またその結果、顎関節症を引き起こすこともあります。
 ではどうすればいいか。よくいわれるのが、まずは気づいたらすぐ食いしばりをやめる。これを意識するようにすると早期に食いしばりに気づくようになり、結果歯にかかる負担は軽減します。そのため、職場などでは食いしばりに気がつけるように、至る所に「歯を離す」というメモを貼るのも有効でしょう。またリラックスするのも大切ですので定期的な深呼吸などもいいかそしゃくと思います。人は一日の間で咀嚼を含め歯をかみ合わせている時間はだいたい10分位だそうです。無意識に食いしばっている方はその時間がより長くなっているので、気づいたときに食いしばりをやめるだけでもかなりの効果があるといわれています。またご飯をゆっくり食べることも必要と言われています。食いしばりのある人の特徴に、早食いをする方が多いそうです。食事をする際、ものをゆっくり優しくかむことを意識するだけでも効果があるそうです。ガムをかむことで食いしばりを抑制することもいわれています。ガムをかむことで上下の歯を離すことができます。またかんでいるガムは口の中で球体にし、口蓋に押し付けることをしても食いしばりは回避できます。また歯ぎしりをしている人は枕が高い人もいるそうですので、一度正しい枕の高さを見てもらうこともいいかと思います。
 日常の中でちょっとした改善やセルフケアで、結果健康な口腔環境を維持できるとすれば、とてもいいことだと思います。それでもやはり症状が気になるのであれば、それは早めにかかりつけの歯科医院を受診することが望ましいと思います。