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2016年4月の記事一覧
口腔がんとは?
わが国における口腔がんの罹患(りかん)率はがん全体のおよそ2% に過ぎませんが、私たちが生きていくうえで必要不可欠な「食べる」「飲む」「話す」「呼吸する」といった口腔機能が大きく損なわれQOL(生活の質)が著しく低下し、また生命を脅かす重大な病気です。
口腔ガンの後天的な原因は、喫煙や過度の飲酒、口腔内の不衛生、不適合な義歯による慢性的な口腔粘膜への刺激、栄養不良やウイルスなどが知られています。総じて、口腔がんに罹患するリスクが最も高いタイプは50歳以上の男性で飲酒時にタバコを吸う習慣のある人と言われています。飲酒時の喫煙によりタバコに含まれる発がん性物質がアルコールで溶かされて口腔粘膜に作用するため、よりリスクが高いとされています。
一般的に口の中の病気はかなり悪化するまで我慢してしまうことが多く、がんのような早期発見により生存率が上昇する場合でも進行してから来院することが多いようです。がんに限らず口の中では「出血がある」「膿が出る」「痛みがある」などさまざまな症状が出ますが、これがもし顔や体の皮膚に起こったとしたらすぐに病院に向かうでしょう。
①歯肉や頬粘膜に無症状でイボのような白っぽい隆起がある②義歯調整後の粘膜の傷や原因不明の傷が2週間以上経過しても治らない③粘膜の表面に境界が不明瞭な硬いしこりがある④抜歯後の治癒が遅く抜歯窩から出血しやすい肉芽組織が盛り上がっている⑤一定の部位の粘膜表面が赤くただれている⑥顎顔面領域の原因不明の痛みが次第にしびれに変わってきた―などの所見があれば早急に検査を受ける必要があります。
また、口腔がんの予防には禁煙あるいは節煙を行う、禁酒あるいは適量飲酒を行う、口ほてつ腔内を清潔に保つ、適切なう蝕治療、補綴治療、歯周治療を行い口腔環境を整える、香辛料をとり過ぎない、バランスの良い食事をとる、などが挙げられます。
口腔がんは早期に発見できれば患部を切除するのみで治癒する可能性が高いですが、発見が遅れて腫瘍が大きくなっていると大幅な切除手術が必要で術後の機能障害も重症となります。口腔がんの切除手術を行う際には、損なわれた部分を他の皮膚や筋肉を使って移植するなどの再建手術が行われます。しかし、外見上は復元されたとしても、移植した組織が舌などの口腔内組織の機能を果たすことはできません。切除範囲が大きいほど術後の飲食や発音が困難になるため、QOLの著しい低下が懸念されます。
口腔がんは日ごろの定期健診で早期発見できることがほとんどです。痛くなくても定期健診にいきましょう。