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2016年11月の記事一覧

訪問歯科診療を知っていますか?

訪問歯科診療とは、高齢や障がいのため歯科診療所に通院が困難な方に対し、自宅や入居している施設に歯科医師や歯科衛生士が訪問して、歯の治療やお口のケアを行なうことです。診療費はほとんどの場合、医療保険や介護保険などの公的な保険が適用されます。

 自宅で介護が必要な高齢者や障がいのある方はお口の清掃がどうしても十分に行えません。清掃状態が悪くなることでむし歯や歯周病が進行し、歯が痛い、グラグラする、折れたなどいろいろな症状が現れます。これら

の症状が現れても、歯科診療所に通院できないまま咀嚼(かむ力)、下(飲み込み)が徐々に低下し、次第に家族との会話、感情表現などの生きる気力が失われていきます。口から味わって食べる楽しみ、意欲がない生活では、全身状態のさらなる悪化、生命の予後にも大きく影響することは最近の研究で広く知られています。

超高齢社会の日本では、在宅医療の充実は重点課題のひとつであり、岐阜県をはじめ全国の歯科医師会で訪問歯科診療の提供体制の充実に取り組んでいます。

 訪問歯科診療では歯科医師がコンパクトに設計されたさまざまな診療機器を自宅や施設に持って行くことで、歯科診療所と同様な治療を受けることが可能になってきています。むし歯の治療、入れ歯の調整・修理・作製、歯周病の治療など咀嚼の回復だけでなく、下訓練などのリハビリも可能です。

 要介護の高齢者に多い病気で誤性肺炎があります。これは、お口の細菌などが気管(肺)に入って(誤して)発病する病気です。清掃状態が悪く、お口が不潔な状態で、体力の低下がみられる方は、食物の残りかすなどが気管に入りやすく、細菌感染つまり肺炎を起こしてしまいます。日本人の死亡原因上位は肺炎で、高齢者の肺炎の70% 以上が口腔内の細菌が気管に入ることが関係していると言われています。誤性肺炎の予防には口腔内を清潔に保つことが大切です。

訪問歯科診療では治療だけでなく口腔内を清潔に保つお手伝い(口腔ケア)も行っています。実は歯科診療所に通院が難しい高齢者や障がい者にこそ、口腔ケアがとても重要なのです。訪問歯科診療を希望される場合は、まず本人や家族の身近な「かかりつけ歯科医」に相談してください。また、ケアマネジャー、地域包括支援センター、地域の歯科医師会で

も訪問歯科診療を行う歯科医院を紹介しています。

自宅でも歯科診療はできます。生涯、口腔ケアを受けるため、ご相談ください。