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2017年10月の記事一覧

歯の痛み~関連痛~

  先日、来院された患者様。切実な表情と口調で「右上の一番奥がズキズキする、何とかして!」エックス線、歯周検査などの結果、奥から四番目のむし歯が原因の可能性が高いとご説明した。患者様は「いや、そこは痛くないから一番奥の治療をしてください」とのこと。その日は消毒と消炎鎮痛薬を処方して、経過を診ることにした。
 次の日、痛みが続くと来院され、奥から四番目の治療を納得していただき処置。1週間後、「あれからすぐ楽になったわ。不思議ね。ほんとに一番奥が痛かったのに」とおっしゃった。患者様も僕もホッとひと安心。
 関連痛とは痛みの原因となる部位とは違う部位に感じる痛みのことです。痛み刺激が神経を通じて脳に伝わる際、同じまたは隣接する神経束の刺激として誤認するためとされています。
 口の周りで起きる関連痛で身近なものとしては、かき氷などを食べた時に咽頭神経が刺激され、こめかみがキーンと痛く感じるもので、「アイスクリーム頭痛」と呼ばれます。歯髄炎(むし歯)で耳やこめかみ、急性上顎洞炎で歯に痛みを感じることもあります。上の歯が原因で下の歯に痛みを感じる、またその逆の場合もあります。重大なものとして、狭心症などでは心臓部の痛みを左上腕から下顎、奥歯の痛みとして感じる場合があります。
 関連痛とはやや異なりますが、非定形歯痛(突発性歯痛)と呼ばれるものがあります。「治療、抜歯したのに歯痛がとれない」、「いくら検査しても原因が見つからない」といった原因不明の歯痛です。不明とされるものの原因に関する疑わしい説はあり、これも神経伝達が混乱することによる神経因性説が有力説の一つで、その対処法も考えられています。
 治療を受ける場合は、ご自身の感じる痛みの様子をしっかり伝えた上で、じっくり相談して治療方針を決定するのが、痛みから解放される近道ではないでしょうか。