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2013年9月の記事一覧

認知症との関わり

 そもそも、認知症になるとおおむねどんなことが起きるのか把握しておく必要がある。加齢と共に、物忘れや人の名前がとっさに出てこないことが起きる。偶然、道で会ってあいさつしているのに、顔は分かるのに名前が出てこない。後になっても思い出すことがないし何を思い出そうとしていたかも忘れてしまう。故に出掛けても、どこに何をしに出掛けたのか忘れてしまい、さらには帰る家もどこか分からなくなってしまう。本人は「最近何か様子が変だ」と思い病院を受診して分かる。
 歯科を受診される場合は、大抵家族の付き添いがあり、これらのことを頭に入れて、診療に臨む。本人の話を十分に聞くことも大切だが、何分か経過後に同じ質問をすると全く違う返答だったりする場合がある。本人にしてみれば、毎回が本当のことで前と違う認識がもてない。そのため特に視診が大切になってくる。隅から隅までじっくりと観察し、異常部分を歯科医師自ら見つけ出す努力を惜しんではいけない。
 次に触診であるが、これも非常に大切である。術者の指先に目が付いているかのごとく診なければならない。本人は、時系列で症状を説明できないため、判断するのが難しい場合があるが、よく診て本人および家族に、十分説明することが必要である。思い込みで進めてトラブルにならないよう説明と同意が健常者以上に必要である。
 また、口腔内清掃が、低下している場合が多いため注意が必要である。ブラッシングには見守りが必要で、きれいに磨けていない場合が多く見受けられる。義歯を使用している場合には、流水下で十分に洗い流し、洗浄剤に浸けておくことが望ましい。高齢者の場合は、誤嚥性肺炎に気を付けることも重要である。
 少しでも減らせるリスクは、少なくする努力を怠ってはならない。一方的な医療を、押し付けたり画一的にならないよう、一人一人に向き合って共によくなるよう、いつも心がけて診療に臨むことが肝要である。誰もが罹患する可能性があるのだ。間違った情報に惑わされることなく、正しく認知症を理解し、自分ならどうするかを普段から考えておき、なにげない支援に心がける。一番苦しいのは、認知症になってしまった本人で、そのことを常に頭の隅に置いて診療することが、重要なポイントである。