歯科コラム
口腔がんとは
口の中にできる悪性腫瘍を特に口腔がんといいます。口の中のいろいろなところにできるがんで、胃がんや肺がんなどと違い直接見ることができますが、見た目には口内炎やその他の潰瘍と似ているので気付かないことも多く、初期段階では痛みが少ないことが特徴です。
初期の口腔がんでははっきりとした自覚症状はなく、痛みが出てきたときにはかなり進行しているケースが多いため、次のような症状、①口内炎が2 週間以上治らない②舌や口の中の粘膜が白く変色している③舌の赤みが強く、ただれている④舌の表面がざらざらする、しこりを感じる⑤顎や舌が動かしにくい⑥口の中の痛みやしびれ感がある⑦歯茎や粘膜に出血を伴う潰瘍がある⑧抜歯後の傷口が治らない―があれば、歯科医院もしくは歯科口腔外科を受診するようにしましょう。
口腔がんが疑われる場合、診断には超音波検査などのほか、採取した細胞の悪性度を調べる細胞診検査や、腫瘍の一部を切り取って顕微鏡で調べる病理検査を行うのが一般的です。さらに、がん細胞が確認された場合は、病変の大きさ、深さ、広がりの程度を正確に把握するためにCT検査やMRI検査などの画像検査を行い、治療方針を検討します。
口腔がんの主な治療法は外科的切除、放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)で、がんの部位や大きさ、進行度、転移の有無、全身状態によって、単独または併用で行います。治療後は少なからず、①摂食・嚥下障害(食べること・飲み込むことの機能低下)②発音・構音障害(話すことの機能低下)③審美面の問題④精神的な影響―などが生じます。治療後のリハビリテーションでは、このような問題を総合的に解決していく必要があります。