歯科コラム
口の中の病気と栄養
口の中の病気は全身の病気と同様に、日々摂取する栄養と深く関係しています。
砂糖はむし歯菌(ミュータンス)だけでなく、口腔常在菌であるカンジダ菌(カビの一種)にとっても栄養源であり、その増殖を促します。健康な場合は問題ありませんが、免疫力が低下した場合や口腔乾燥が生じた際に、カンジダ菌が増殖しやすくなります。これは糖尿病患者にカンジダが生じやすいことと関係しています。脂肪分や糖質、お酒の過剰摂取で中性脂肪やLDLコレステロールが高くなると炎症が促進され、歯周病を起こしやすくなります。タンパク質は歯肉の治癒や骨の中のコラーゲン生成に関わっており、不足すると歯周病の進行につながります。
ビタミンやミネラルには口腔粘膜を修復する働きがあり、不足すると粘膜の治癒が遅れることがあります。ビタミンB群欠乏は口内炎や口角炎、舌炎(舌がつるつるになりヒリヒリした痛みが生じる)を、ビタミンC欠乏は歯肉出血を起こすリスクがあります。鉄欠乏は赤く平らな舌炎や口角炎、嚥下障害を引き起こします。亜鉛不足は味覚障害に影響します。ビタミンD、カルシウム、リン、マグネシウムは骨の成長に関係し、不足すると歯周病を誘発しやすくなります。
この他にも、必須アミノ酸であるトリプトファンやビタミンB6は睡眠や精神の安定に関係するホルモン「セロトニン」の材料で、不足すると口腔心身症に影響を及ぼす可能性があります。口腔心身症は、見た目には異常がないのに舌がぴりぴりしたり、口の中に違和感が出たりします。特に歯が欠損してかむ力が落ちるとタンパク質を取りづらく、糖質に偏った食事になりやすいため注意が必要です。
もっとも、過度の偏食をしなければ、異常な不足が生じることはあまりありません。栄養バランスの良い食事を取るために歯や口の中の清掃を心掛け、かんでのみ込む機能を維持するとともに、栄養バランスに気を配ることが大切です。