歯科コラム
フッ素でむし歯予防

なぜむし歯になるのでしょうか?むし歯は、歯の表面に付着した歯し垢こう(プラーク)が原因で、プラークに潜むミュータンス菌などが作り出す酸により、カルシウムやリン酸などのミネラル成分が失われていきます。この現象を脱灰といいます。また、唾液がカルシウムイオンとリン酸イオンを補給し、歯の表面のエナメル質が新たに形成される現象を再石灰化といいます。健全な歯は脱灰と再石灰化のバランスがとれた状態です。しかしプラークが蓄積し、病原菌が大量の酸を産生する状態が続くと、やがて再石灰化が脱灰に追いつかなくなり、歯が溶かされてむし歯が発生してしまいます。
むし歯予防には、歯みがきやフロス(糸ようじ)、歯間ブラシなどによるプラークコントロールがとても大事ですが、間食の取り方にも気をつけましょう。食べる時間や量を決めて、お菓子や飲み物に含まれる砂糖や炭水化物にも注意します。そして、フッ素(フッ化物)を利用して、むし歯に負けない強い歯を形成していきます。
2 0 2 4年の歯科疾患実態調査では、セルフケアでフッ化物配合の歯みがき剤を利用している人が最も多く、市販の歯みがき剤の約9 5%以上にフッ化物が配合されています。
厚生労働省は2 0 1 7年3月に、フッ化物配合量の上限を1 0 0 0 ppmFから1 5 0 0ppmFに引き上げました。現在市販されている歯みがき剤の多くは、製造時の誤差を考慮して上限値が1 4 5 0 ppmFに設定されています。
6 歳未満の乳幼児は9 5 0 ppmF、6歳以上であれば1 4 5 0 ppmFの歯磨き剤を1日2回以上使用して、歯の表面にできるだけ多くのフッ化物を残すために「すすぎ」は一回程度にします。また、歯科医院などで高濃度のフッ化物歯面塗布を行うプロフェッショナルケアや、保育園・幼稚園や学校などで集団的に行うフッ化物洗口などがあり、異なるレベルで実施が可能です。
これらのフッ化物を応用した予防方法と日々のブラッシングケアを生涯にわたって継続することが望ましいでしょう。